新幹線はなぜ「沼津駅」に停車しないのか? 三島より大きな都市にもかかわらず、という謎

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静岡県東部にある三島市には、三島駅という東海道新幹線の駅がある。しかし同市は地域最大の都市ではない。いったいなぜなのか。

沼津市に設置されなかった理由

沼津駅と三島駅〈赤印〉の位置関係(画像:OpenStreetMap)
沼津駅と三島駅〈赤印〉の位置関係(画像:OpenStreetMap)

 別の方面からも検討してみよう。

 新幹線駅が沼津市に設置されなかった理由として、最も確実性があるのは

「東海道本線の沼津駅と東海道新幹線のルートが遠く離れているから」

というものだ。直線距離にして2.5kmほどである。

 地図を見ればわかるが、東海道新幹線と東海道本線は三島駅でいったん接近し、その後、南北に離れていく。東海道本線は海沿いを走るのに対し、東海道新幹線は愛鷹(あしたか)山の裾野に沿って走っている。

 なぜ山側に沿っているのか。それは、海沿いの地盤が極めて軟弱だったからだ。海沿いはもともと湿地で多くの沼が点在し、「浮島沼」と呼ばれるほどの沼群だった。その周囲は浮島ヶ原と呼ばれ、大雨や高潮ですぐに冠水していた。それゆえ、地域では昭和30年代まで、腰まで漬からなければ田植えができない水田が広がっていた。

 その軟弱さゆえ、東海道新幹線は愛鷹山の裾野に沿って走る以外になかったのだ。ちなみに、東名高速道路も同様に浮島ヶ原を避けている。

 そのため、沼津市内で新幹線駅を設置しようとすれば、市街地から遠く離れたところに建設することになる。対して、三島駅なら東海道本線を使って容易にアクセスできる。ゆえに、新幹線三島駅に反対しなかったのだろう。

 そして、新幹線三島駅は1969(昭和44)年4月に開業した。

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