新幹線はなぜ「沼津駅」に停車しないのか? 三島より大きな都市にもかかわらず、という謎

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静岡県東部にある三島市には、三島駅という東海道新幹線の駅がある。しかし同市は地域最大の都市ではない。いったいなぜなのか。

三島駅が設置された経緯

沼津駅(画像:写真AC)
沼津駅(画像:写真AC)

 静岡県東部に位置する沼津市は人口18万8667人(2023年4月時点)、伊豆も含めた東部の有力都市だ。しかし新幹線駅はない。市内には東海道新幹線が走っているのに、駅があるのは隣の三島市(10万6617人、同年同月)なのである。地域の有力都市でありながら、なぜ新幹線駅が設置されなかったのか。

 三島市に新幹線駅が設置された経緯について、筆者(昼間たかし、ルポライター)は以前、「静岡の謎! 熱海駅すぐ近くの「三島駅」に新幹線がわざわざ停車する理由」(2023年6月13日配信)という記事を当媒体に書いた。

 設置の過程においては、政治的な力が少なからず働いていた。1951(昭和26)年から静岡県県知事を4期務め、開業に尽力した斎藤寿夫氏も、そのことについて次のような文章を自著『回顧 知事十六年を中心に』(江崎書店、1979年)に残している。

「そもそも三島に新幹線操車場ができたのは、山田代議士(山田弥一衆議院議員)が運輸政務次官当時、国鉄幹部を次官室に招いて、三島ならば用地確保が容易であるから、三島周辺に操車場を設けるよう指示したことによる」

 詳細は前述の記事に譲るが、この山田氏の指示によって、三島市に新幹線操車場が設置されたことが新幹線三島駅開業の大きな要因になったのは間違いない。

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