ドイツのアウトバーンは「時速無制限の区間」があるのに、なぜ安心して走れるのか?
副産物=基礎技術が上がり、時間を節約できる
今回、筆者はアウディの
・e-tron GT
・Q8 e-tron
・Q4 e-tron
の3台を運転した。前述のとおり、GTでは220km少々までスピードを出したが、それは追い抜き車線で前の車に詰まったためであり(前の車が右車線に戻るのが遅れた)、前が空いていればまだスピードを出しても大丈夫という安心感があった。
シャシーがカチッとしていたため、タイヤ、サスペンションのセッティングもよかった。また、ダウンフォースも発生していたので、道路に吸い付くような印象だった。
Q8は190kmまで出したが、スポーツタイプ多目的車(SUV)で車高が高めにもかかわらずすこぶる安定していて、運転する恐怖心が生まれなかった。これはベースの車体性能がなせる業だろう。
もし、日本の高速道路に無制限速度区間が設置されたら、トヨタ、ホンダ、日産なども、基礎技術向上(= 安全性向上)に寄与できるのではないか。
また、アウディ3車種にはヘッドアップディスプレーが標準装備されていたが、高速走行と頻繁に変わる速度規制下において、目線の移動がインパネを見るより減るため、速度規制の変化に気づきやすいなど、安全対策に寄与している。
また、時間短縮効果を実感した。渋滞に捕まったにもかかわらず、ミュンヘンから北に約160kmのニュンベルクとミュンヘンの間をわずか1時間で走行できた。時速にすれば平均160kmぐらいだ。
もし、新東名で160kmを平均時速100kmで走るなら約2時間かかる。この違いは大きい。日本の輸送業界では「2024年問題」が懸念されているが、このように輸送時間を短縮できるなら、ドライバー、依頼主、受け取り手にとってもメリットになるだろう。
外国にこうした考えの道路行政があることは、
「島国根性を持つ日本人の視野を広げる」
という意味で、知って損はない。しっかりとした設計思想と国民の順法精神が高ければ、死亡事故は意外に起こらないことをドイツは証明している。