日産サクラに「オタク要素」はいらない! 国内EVシェア“4割超え”で見えてきた、「普通っぽさ」という躍進への萌芽

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日産自動車が開発した軽自動車規格のBEVである「サクラ」が発売開始から1年が過ぎた。その間の累計販売台数は、2023年3月19日の時点で約4万2000台に上っている。

「普段使い」としてのBEVの価値

エネチェンジ×EVsmart主催「ジャパンEVオブザイヤー2022」の結果(画像:エネチェンジ)
エネチェンジ×EVsmart主催「ジャパンEVオブザイヤー2022」の結果(画像:エネチェンジ)

 高価なプレミアムカーレンジのBEVは、乗り手も

「自身が扱っているのは特殊なモデルである」

という自覚を持っている。むしろ、そうした“マニアックな観点”にオーナーとしての所有欲を満足させる要素が少なくない。

 それに対してある意味、価格の安さとともに人気に火がついた軽自動車BEVにとって、そのような観点はおそらく極少数だ。

「BEVであることを気に掛けず」

に安心して普段使いできるためには、どういった性能を伸ばして行くべきなのか。そこにサクラの未来が掛かって来るといっても過言ではないだろう。

 日本国内モデルを超越した世界標準の1台へ。その上で軽自動車の在り方そのものを根本から変える1台へ。サクラには大きな可能性がある。

 ただしそこに至るにはもうひとつハードルがある。それは中古車市場における

「確実な商品価値の担保」

である。

 具体的には保守点検に掛かる費用。バッテリーの寿命保証に加え、保証が切れた場合でもその交換費用をいかに安く抑えることができるかということだ。

 BEVで使われているリチウムイオン電池は近年リサイクルとリユースビジネスが本格化している。しかしどちらにしても、BEV用の劣化品を再生の上で同じBEV用に再利用するというのはまだ少ない。現時点では、

「定置用補助電源装置などに転用する」

例が主である。

 この分野でのリサイクルを強化し、BEVから回収したリチウムイオン電池は、同じBEVで再利用する。それでこそのリサイクルでありリユースだ。サクラにはこの分野でも先進の道を歩んでほしいものだ。

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