「立って乗る」車いす、知ってる? 筑波大学発の企業が開発、下肢障がい者の大きな助けに

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街中や病院などでよく見かける車いす。入院時や足のけがなどで一時的に使ったことがある人は、その不便さを痛感したことだろう。一時的ならともかく、常用する人の不便さは推して知るべしである。

立って生活することの「自由さ」

Qoloの車いす(画像:つくば研究支援センター)
Qoloの車いす(画像:つくば研究支援センター)

 街中や病院などでよく見かける車いす。入院時や足のけがなどで一時的に使ったことがある人は、その不便さを痛感したことだろう。一時的ならともかく、常用する人の不便さは推して知るべしである。

 そんななか、筑波大学発のスタートアップ「Qolo(コロ)」(茨城県つくば市)は“立って乗る”車いす「Qolo」を開発した。2012(平成24)年から開発をはじめ、2014年には最初の試作機が完成している。

 車いすの常識を覆すような“立って乗る”という仕様は、非常に興味深い着眼点だ。同社は車いす中心の生活を強いられている下肢障がい者に

「立ち上がって生活する自由」

を届けるべく、開発に踏み出した。

 ぱっと見「座ったままのほうが楽ではないか」と考えてしまうが、車いすに長く座っているとデメリットがあるのだ。

 例えば、血流が悪くなる。健常者は長く椅子に座っていれば居心地が悪くなり、もぞもぞと動いたり、立ち上がったりして血流を促す。しかし、下肢障がい者にはそれができない。最悪の場合、血栓や床擦れを起こしてしまうのだ。

 ほかにも、骨に力がかからない状態が続くと、骨がもろくなるケースもある。というわけで、他人や機械を借りてでも「立った姿勢」になることには、大きな意味があるのだ。

 また、立ち上がることで高いところに手が届くようになったり、視界が広がったりなど、精神面にも好影響があると考えられる。

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