自動車業界で激化する「ITエンジニア争奪戦」 永遠の課題「ソフトウエア標準化」で電子制御ユニット開発を効率化できるか

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ホンダ・トヨタのソフトウエア人材を強化する。そこに潜む課題とは。

繰り広げられるITエンジニア争奪戦

ITエンジニアのイメージ(画像:写真AC)
ITエンジニアのイメージ(画像:写真AC)

 フォルクスワーゲンやボルボ、トヨタは、ソフトウエア企業になることを優先している。他の自動車会社も製品の差別化のため、ソフトウエアエンジニアの数を確保しなければならない。

 ところが、英国の車載ソフトウエア開発企業であるVNCオートモーティブ社によると、一部の大学ではより多くの卒業生を排出するため、カリキュラムの簡略化が実施されており、数だけではなく質が大きな課題となっている。

 また、ソースコード1行あたりのコストは、

・テスト
・不具合
・メンテナンス

などを考慮するかどうかで15~80ドルがかかる。品質が不十分な場合、開発企業は数百万ドルの損失を被る可能性もある。

 さて、欧米の実情はどうなのか。

 ドイツは以前から産学官連携で量産技術開発を推進する文化が定着しており、即戦力の新卒を安定的に確保しやすい。2021年のITエンジニア数は121万人で、世界第5位だ。米国のITエンジニア数は409万人で1位だが、昨今のシリコンバレーは経済的な不安から雇用の縮小や解雇が相次いでいる。ただ、すぐに再雇用されており人材の流動性が高い。

 日本のITエンジニア数は122万人で、231万人で2位のインド、推定227万人で3位の中国に次いで4位だ。しかし、人口比率では

「0.97%」

で、北ヨーロッパの1.59%や北米の1.47%に対して大きく劣っている。

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