自動車業界で激化する「ITエンジニア争奪戦」 永遠の課題「ソフトウエア標準化」で電子制御ユニット開発を効率化できるか
ホンダ・トヨタのソフトウエア人材を強化する。そこに潜む課題とは。
ホンダ・トヨタのソフト人材対策
日本経済新聞は5月29日、ホンダがソフトウエア人材を2030年に現在の倍の1万人に引き上げると伝えた。なお、トヨタも2025年までに約9000人を再教育し、ソフト人材に転身させる。
ソフトウエアが必要となる自動車の電子化の歴史は古く、1978(昭和53)年に米国のゼネラルモータースとフォードが排ガス規制対応のため、マイコンでエンジンを精密に制御するシステムを量産化。日本では1979年に日産、1980年にトヨタが続いた。
電子制御は、まずブレーキやエアバック等の安全装備、情報通信(ナビ)や快適装備(空調)などへ広がった。
そして、ハイブリッド(HV)駆動制御や電動車用電池の温度制御などを経て、今や自動運転という巨大システムが世界各国で開発されている。
激増する自動車の電子制御
車1台あたりの電子制御ユニット(ECU)数の平均は、
・2016年:21.6個
・2021年:29.6個
・2035年:46.6個
で、市場規模は約34兆円になると予測される。現在でも一部の高級車では100個を超えるともいわれている。
特に、自動車製品に占める制御ソフトウエアの比率が高まっている。2000(平成12)年時点で、ソースコードの行数は100万行程度だったが、2010年のシボレー・ボルトは1000万行、日産は2016年に1億行を超え、2020年には
「10億行」
を超えた。今後、高度運転支援(ADAS)や自動運転(AD)にともない、さらに増加する。
なお、F-35戦闘機のコード行数は2400万行、マイクロソフトオフィス2013は4400万行といわれていることから、車用ソフトウエアの複雑さは突出しているのがわかる。