四国新幹線 徳島知事「岡山ルート支持」に見る、岡山県“一人勝ち”の未来 それでも四国人は新幹線を求めるのか?

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四国新幹線は岡山経由――。ついに構想ルートが一本化され、現地では計画の具体化に向けた期待が一段と高まっている。もしも、四国初の新幹線が実現にこぎつけたとき、沿線はどう変化するのか。

岡山への首都移転構想

岡山駅前(画像:(C)Google)
岡山駅前(画像:(C)Google)

 さて、ここまでは四国新幹線構想の現状についてを記してみた。ここからは、もしこの新幹線が実現した場合に、地域にはどのような結果がもたらされるかを考えていきたい。

 四国4県では、四国新幹線によって大都市圏との距離に加え、それぞれの県庁所在地へのアクセスの利便性が高まることによる発展を描いている。しかし、実際に起こるであろう未来は、こうだ。

1:四国4県の圧倒的な衰退
2:岡山県(岡山市、倉敷市などの県南部)の発展
3:岡山県に日本の首都が移転する

 まず、1と2について考えてみよう。瀬戸大橋の開通以降、岡山側から見て大きく変わったのは、四国の広い範囲が

「日帰り圏内」

になったことだ。とりわけ岡山県と香川県の一体化は著しい。通勤通学で毎日、瀬戸大橋を往復している人も今では当たり前だ。

 それでもなお、四国(特に高松市)に支店を置く大企業は多い。しかし、もしも新幹線が開通した場合にはどうなるだろうか。大企業が四国内に支店を設ける必要性は全くなくなる。中国地方各地を結ぶ交通の結節点である岡山に支店を集約し、中四国地方の拠点とするだろう。少なからず支店経済に依存している四国4県は大きな経済的な打撃を被る。

 対して、岡山県南部、とりわけ岡山駅のある岡山市は企業が中四国の拠点を置く都市として発展していくことになる。現在は広島市に次ぐ中国地方2番目の人口を持つ政令指定都市である岡山市だが、高度成長期から続く念願の人口100万人の

「大岡山市」

も夢ではない。

 四国の経済と一体化することで岡山県南部が発展した先に起こりえる未来は、日本の首都が東京から岡山県に移転することである。夢物語ではない。岡山県中央部に位置する吉備中央町は、これまで日本の首都移転候補地として名乗りをあげている。

 同町には1973(昭和48)年から建設が始まった計画都市「吉備高原都市」が存在する。これは田園のなかで職と住が近接した都市を目指したものであった。この計画自体は頓挫したものの同町には、新宿区と同等の面積の開発可能な土地が存在している。

 そこに首都を移転する強みは災害への強さだ。もともと自然災害の少ない岡山県だが2011(平成23)年以降は地震も少なく、移住者の増加が見られた。その岡山県のなかでも同町は最も地盤が安定している地域とされている。

 現在は、ローカルに語られるだけの夢物語だが、四国新幹線により岡山県経済が発展すればがぜん現実味を帯びてくる。古代にはヤマト王権と覇を競った吉備国のあった岡山県である。もしも日本の首都が移転しても、違和感はない。

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