四国新幹線 徳島知事「岡山ルート支持」に見る、岡山県“一人勝ち”の未来 それでも四国人は新幹線を求めるのか?
四国新幹線は岡山経由――。ついに構想ルートが一本化され、現地では計画の具体化に向けた期待が一段と高まっている。もしも、四国初の新幹線が実現にこぎつけたとき、沿線はどう変化するのか。
今やるべきは瀬戸大橋線の高速化
しかし、熱意とは別に実現可能性はどれだけあるだろうか。むしろ、今やるべきは瀬戸大橋線の高速化という意見もある。
【無料セミナー】「自動車DXサミット vol.3」 三菱ふそう KTC マツダ登壇 Amazonギフトカードプレゼント〈PR〉
瀬戸大橋を利用して両岸を結ぶ瀬戸大橋線は、1日に140本以上が走る大動脈だ。本州と四国を結ぶ列車はすべて岡山駅から瀬戸大橋線を通過する。1988(昭和63)年の瀬戸大橋開通とともに開業した瀬戸大橋線だが、開業当時は単線区間の長い路線だった。新規に路線が建設された茶屋町~児島間は複線化されている一方、既存の宇野線を利用した岡山~茶屋町間は単線といういびつな路線となっていたのである。
そこで、2009(平成21)年に備中箕島~久々原の約3.3kmを複線化する工事が実施された。この事業費27億円のうち自治体負担分10億円の約7割は四国4県が賄った。ところが、残された単線区間の複線化は全く進んでいない。
岡山~高松間を走る快速マリンライナーは最高時速130kmだが、単線区間が残る岡山~茶屋町間は100kmしか出せない。快速マリンライナーは岡山と香川を通勤通学する人が数多く利用しており、ラッシュ時には座れない乗客も多い。しかし、車両を増やすなどの措置も鈍い。
瀬戸大橋線の増強の動きが鈍いのは、JR四国や四国4県が路線の改良による高速化よりも、新幹線によって抜本的な高速化を計りたいという意向を持っているからだとされている。現在の路線の改良を放棄してまで新幹線に賭ける思いは成就するのだろうか。