EVの“低価格化”待ったなし? 「コスト削減 → 生産増加」のポジティブサイクルで、見えてきた世界普及の現実

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これまではEVは内燃機関車よりも高いというイメージが強かったが、2023年に入り大きな転換期を迎えている。

これからもEVの低価格化は続くのか

リチウムイオン電池の価格推移(画像:BNEF)
リチウムイオン電池の価格推移(画像:BNEF)

 2010年ごろにリチウムイオン電池を搭載した近代的な量産EVが発売され、この十数年で量産効果などにより電池の価格が低下したことで、EVの価格も低下してきた。ところがBNEF(ブルームバーグNEF)の調査によると、2022年はリチウムイオン電池の平均価格が下げ止まり、電池パックレベルでは2021年の141ドル/kWhから7%上昇、151ドル/kWhに達した。

 このことから「これからもEVの低価格化は続くのか」と不安視する意見もあるが、価格が上昇した背景を理解すれば心配はなくなる。価格上昇の最大の理由は増産に伴うリチウムなどの資源価格の高騰で、国際エネルギー機関(IEA)が公開したGlobal EV Outlook 2023によると、2021年から2022年で車載向け電池の生産は65%増加した。

 当然ながらリチウムなどの供給も電池とともに増加しているが、加速する電池の増加ペースに追いつかず、ここ数年で十数倍まで高騰した。

 その後、2022年に一時的に60万元/tまで高騰していた炭酸リチウムのスポット価格は、2023年に入り約1/3にあたる20万元/t程度まで下がった。まだ数年前の4万元/t程度という水準と比べると高いものの、BNEFは2024年ころに供給が安定し、さらに価格が下落すると予想している。

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