意外と知らない? インターチェンジの近くに「ラブホテル」がやたらと多い理由
某テーマパークそっくりのホテルも
林立する競合のなかで少しでも目に留まるよう、ラブホテルは独自の進化を遂げていった。
外観はどんどん奇抜になり、ヨーロッパの中世のお城を模したり、豪華客船を模したりと、まるでテーマパークのような様相だった。浦安には実際、
「某テーマパークのお城そっくり」
の外観のラブホテルが高速道路から見え、何も知らない子どもを勘違いさせた。
内部もテーマパークさながらで、まるでライドアトラクションのような円形の動くベッドはラブホテルの代名詞であるが、そのほかにも派手な調光設備、ゴージャスな洋室、石庭がある和室など、とっぴな仕掛けやデザインの部屋が次々に用意された。
女性の気を引くために考えられたのかもしれないが、当時の女性がそのような好みがあったとも思えない。
羞恥心の衰退とイメージの転換
しかし、バブル経済期を迎えて、若者が経済的に豊かになるにつれ、事情は変わってきた。
若者の住環境は著しく改善し、女性のひとり暮らしも珍しくなくなった。また、若者の意識の変化もあって、従来のようにカップルが人目をはばからないようになり、ラブホテルを利用するより、
・シティホテル
・リゾートホテル
を利用するようになっていった。
ラブホテルも離れていく需要を取り戻すべく、いろいろと工夫している。それまで利用は男女のカップルに限定されていたが、女性同士でも利用できるようにしたり、カラオケパーティーなどグループでの利用を促進したりした。
また、呼び名も
・レジャーホテル
・アミューズメントホテル
・ファッションホテル
・ブティックホテル
などと変化させ、明るいイメージに刷新する努力もした。内装も若い女性が好みそうなシンプルでおしゃれなものが増え、とっぴでやたらとゴージャスなものは姿を消していった。
その一方で、この時期にはラブホテル的な利用を念頭におき、大人のホテルをコンセプトにした小型のホテルの開発が散見されるようになる。外装・内装ともにデザインが洗練されていて、おしゃれな雰囲気のレストランやバーを併設し、都会の大人の遊び場を標ぼうしたものだ。
このようなホテルもブティックホテルと呼ばれることがあったが、ラブホテルの流れとは全く異なるものである。新進気鋭のデザイナーが設計したものもあり、宿泊料金は高めだったが、トレンドに敏感だった当時の女性に人気を博した。