車だけじゃない? 自動運転時代のDXで「不動産ビジネス」が変わるワケ

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自動運転は都市部とは縁遠いものなのだろうか。決してそうではない。なぜなら自動運転が変革をもたらすのは、自動車業界だけではないからだ。

IT化と違うDXの三つの特徴

八子知礼『DX CX SX』(画像:クロスメディア・パブリッシング)
八子知礼『DX CX SX』(画像:クロスメディア・パブリッシング)

 移動がサービス化されると何が起こるのだろうか。一番の変化は、ビジネスの境目がなくなることだろう。業界の定義があいまいになるのだ。

 人工知能(AI)と自動運転で呼べば来てくれるオンデマンド型になると、

・土地に固定化されていた不動産
・駅前にしかなかったお店

が街なかを動き回る世界もやってくるかもしれない。不動産業や飲食業だけでなく、小売業など幅広いビジネス概念が変わる可能性を秘めているのだ。

 ビジネスモデルの変容と深い関係にあるのが、近年、話題のDXである。DXといえばIT機器導入のイメージを持つ人もいるかもしれないが、IT化とDXは異なる。

 DXについて詳しく書かれた八子知礼氏の『DX CX SX』(クロスメディア・パブリッシング)によると、すべてにおいてデータを活用するDXには三つの特徴があるという。

●暗黙知の形式化
 かつて、ものづくりの現場では職人の知見が重要視されてきた。知見は暗黙知であり、一人前になるには多くの修練と時間が必要だった。各種センサーや高精細カメラなどを活用しこうした知見のデータ化を試みるのがDXの特徴のひとつである。

●過去分析から将来予測への移行
 過去の蓄積データをAIで分析すると、未来の状況を精度高く予測できるようになる。データの蓄積によって、人間の知見や経験則を裏付けたり、課題や機会発見のきっかけが得られたりするため、より質の高い戦略を立てることが可能だ。

●部分最適から全体最適への転換
 DXが目指すのは、各部門の現場業務のコスト削減や効率化にとどまらない。データを活用することで、組織全体、あるいは業界や社会全体でシームレスな連携を生み出す。

 DXはコンセプトである。製品、サービス、ビジネスモデルの革新はもちろん、最新のデジタル技術を活用しながら、業務フローや組織のあり方、企業文化・風土を変えていこうとするのが目指す姿なのだ。

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