日本の「軽トラ」北米で大人気なワケ 小型実用車の強みが新たなビジネスチャンスを切り開く

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近年、北米において日本に軽トラックの人気が高まっているという話をよく耳にする。いったいなぜか。

北米を走り回る日は来るか

BEV商用軽バン(画像:ダイハツ工業)
BEV商用軽バン(画像:ダイハツ工業)

 この市場、筆者(守山進、フリーライター)個人的にはまだまだ潜在的な需要拡大の余地が残されているように思える。

 北米だから大きくてパワフルなものしか需要がないというのはそもそもの間違いだ。ピックアップトラックにミニマム版としてではなく、クアッドや4輪バギーの上位モデルと位置づける。使い勝手の良い実用車としてセールスを展開すれば、そこに注目する層は少なくない。もちろん新車で販売するためには左ハンドル化は必須だが、保安基準的に適合させることはさほど難しいことではないだろう。

 折しも先の先進7か国(G7)広島サミットにおいて、トヨタ、ダイハツ、スズキの三社は共同開発してきたバッテリー式電気自動車(BEV)の軽商用バンを公開した。これを、バンボディだけではなくトラックとしても、北米現地生産車として市場に投入すれば、そこに新たな需要が生まれる可能性がある。

 BEVであれば、工場や倉庫内での運用にも適している。農場はもちろんのこと、都市部での小口貨物配送などにも適するのは日本国内と同じだろう。EVの問題は価格が高いことだが、そこは企業努力を見せてほしい。

 EV市場の新たな開拓は、今や日本の自動車メーカーにとってある意味急務である。日本国内のみに止まらず、広い視野とともに北米市場に軽自動車を送り込む。過去に生産されたモデルが人気を集めている今こそ、そこに新たなビジネスチャンスがある。

 軽トラがこれまでの主要市場だった日本国内とアジアを飛び出し、北米を走り回る。景色としてもこれは痛快だ。

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