ホンダF1復帰に感じる疑念と矛盾 40年「エンジン車全廃」いずこへ、ビジネスとしてのF1に正当性はあるのか
社のモチベーションの行方
さて、ここまではホンダ内部に関する疑問について述べて来たが、新たなパートナーであるアストンマーティンとの関係について市場はどう評価するだろう。
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F1チームとしてのアストンマーティンは、その正式名称をアストンマーティン・アラムコ・コグニザント・フォーミュラワンチームといい、自動車メーカーであるアストンマーティン・ラゴンダから商標としての「アストンマーティン」の使用許可を受けているという存在である。
ここで気になるのは、独立した自動車メーカーであるアストンマーティンのブランドを掲げているチームに対して、これも独立した自動車メーカーであるホンダの名前のエンジンが搭載されるというのはいかにも違和感が拭えない。
もちろん、いきさつや内容を少し調べればことの詳細はすぐわかる話なのだが、F1に対してライトな知識しか持ち合わせていない大多数の層にとっては疑問が生じることは否めない。
F1というのはモータースポーツの最高峰であるとともに、コンストラクター(製造者)やスポンサーなど、それに関わる企業にとっては、株主からの反応や企業価値の推移など、単なる人気だけでは終わらない生々しい世界でもある。
そうした状況を考えると、かつてのホンダがそうだった様にカリスマ性のある経営者とともに全社一丸となって勝利に向かってまい進するといった、わかりやすいモチベーションこそが企業価値を高めるのではないか。
現時点でのF1活動は、企業の
「モチベーション」
という意味ではわかりにくくないだろうか。
HONDAという五つのアルファベットに熱い思いを抱いているファンに対してもう少しいうことはないのか、というのが筆者(矢吹明紀、フリーランスモータージャーナリスト)の偽らざる感情である。
とはいえ、ホンダとしてF1に復帰するのであれば、ぜひ頑張ってほしい。圧倒的な勝利を期待しているという感情もあるこというまでもない。レースは勝たなければ意味がないのであるから。