国交省「女性トラックドライバー」激推しプロジェクトは女性蔑視か、業界新風か? ジェンダー問題に関心を持つ女性の私があえて支持するワケ

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2014年から国土交通省が進める「トラガール促進プロジェクト」。しかし一部では批判の声もある。

トラガールの言葉が持つわかりにくさ

「トラガール」のウェブサイト(画像:国土交通省)
「トラガール」のウェブサイト(画像:国土交通省)

 まず、トラガールの言葉自体について考えたい。

「ガール」は一般に若さを連想させる。業界としては中年女性でも歓迎だろうが、若い女性が入れば、より長い期間を働いてもらうことができ、人手不足に加え、高齢化が緩和される。欲しい層である20~30代にターゲットを当てたガール、あながち間違っていないのではないか。

 むしろ「トラ」部分の方が審議かもしれない。筆者は、阪神ファンの女性を意味するものだと最初思った。実際は、それは「TORACO(トラコ)」だったのだが、これはいまだトラックと女性がイメージ的に結び付きにくいことに理由があると思われる。

 ならば「トラック女子」の方がストレートでわかりやすいが、トラックも女子も一般的な言葉すぎてスルーされる可能性がある。即伝わらない言葉だからこそ、フックになることもあるはずだ。

過去の意外な体験

トラック(画像:写真AC)
トラック(画像:写真AC)

 トラガールでトラックがすぐに思い浮かばなかった筆者ではあるが、20年以上前、リアルトラガールに会ったことがある。

 仕事の関係で、荷主サイドとして、知人の娘さんであるトラガールに来てもらった。当時は女性のトラックドライバーの存在を耳にしたことがなく、ジェンダーステレオタイプではあるが、ボーイッシュでマッチョな人を想像していた。

 実際現れたのは、茶髪ロングヘアの20代の女性。ギャルな雰囲気がありつつ、落ち着きと芯の強さを持っていた。

 なぜトラックドライバーになったのか聞いたところ、とにかく運転が好きだったと言う。タクシーを選ばなかったのは、トラックであればひとりの時間が長くて気楽だからとのことだった。

 大きなトラックをいとも簡単に動かし、普通の男性が持てないような重い荷物も持ち上げる。サービスエリアで仮眠を取り、かなり長距離の移動をするハードな仕事なのにガサツさはない。

 同僚の男性と、そのトラガールのファンになってしまい、しばらく話題にした。そのため、トラガールがマスコット的な存在になるのも仕方ない部分があると考える。

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