飛行機の「ペット輸送」に付きまとう死亡リスク 過去にはJALが訴訟沙汰、それでも継続の行く末とは
たいていの動物にとって、長時間の輸送はストレスだ。しかしその状況も次第に改善され、ペットフレンドリーで快適な旅行が可能となりつつある。
サービス利用者の声
実際に犬や猫を預けたことのある数人に聞いてみると、サービスに肯定的なもののほか、「もう利用したくない」という辛らつな意見もあった。そのうちのペットのチワワを預けたことがある、30代女性に詳しく聞いてみると、次のような話が聞けた。
「羽田から福岡まで利用したのですが、空港で再会したうちの子の足が血まみれになっていました。慣れない環境で落ち着かず、ケージの中で暴れていたようです。帰りはキャンセルして新幹線で帰りました。今後はペットホテルに預けますよ」
前述のとおり、鉄道と異なり、飛行機は飼い主と引き離されて運ばれる。ペットが搭載されるバルク室は空調が管理されているものの、気圧の変化や普段聞くことのないエンジン音にさらされることになる。
どんなペットでも多大なストレスにさらされ、また想定外の事態が起こってもすぐに対処できない。こう考えると、ペット輸送は利用者・航空会社双方にとってリスクの高いサービスのように思える。
ちなみに、ペットを機内に持ち込めた時代もあったのをご存じだろうか。
1990年代のJALはペットの機内持ち込みを座席のクラスごとに1匹、のちにコンパートメントごとに1匹などに制限して対応していた。
ところが、国内線では次第に縮小し、2005(平成17)年にANAが持ち込み不可としたのを最後に、全て貨物での輸送に切り替えられた。なぜなら、シート電源などが設置されたことで収納スペースが確保できなくなったり、匂い・アレルギー対策が優先されたりしたためだ。
対して、海外ではペットの機内持ち込みを認めている航空会社のほうが多数派だ。