EVとエンジン車のシェアは「数年」で逆転する? 過去の経済理論に見る業界の破壊的変化、EV普及は単なる「技術移行」ではない

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中国EV御三家の代表が「中国のEVシェアは2025年までに80%を超える」と発言した。自動車業界に起きつつある変化を文明史的な視点から眺めてみると、その発言が大げさではないことがわかる。

サプライチェーンへの徹底的な投資を

BYD「ATTO 3」(画像:ビーワイディージャパン)
BYD「ATTO 3」(画像:ビーワイディージャパン)

 どうすればよいか。妙案はないが、まずはリチウムイオン電池を生んだ国として、リチウムイオン精製など蓄電池を始め、EVや自動運転関連の

「サプライチェーンへの徹底的な投資」

を行うべきだろう。日本は半導体産業を失った後でも、その製造装置や素材ではいまだに競争力を持っているという経験を生かせるのではないか。EV化後でも自動車産業大国ならでは培った技術や部品で生かせるものはあるはずだ。

 また奇策だが、中国の「ナマズ効果」に倣って、日本の自動車産業を覚醒するために、次のテスラのギガファクトリーを全力で

「日本に誘致する」

ことが考えられる。最近決まったメキシコのテスラ・ギガファクトリーの次の誘致を巡って、インドネシアと韓国がいずれも首脳外交で火花を散らせている。そこに割って入るのだ。幸いにも日本には、テスラとパートナーを組んでいるパナソニックがいる。

 あるいは、トヨタのウーブン・シティなどを利用した自動運転の実現をテスラと約束して、世界に先駆けてはどうか。デジタル後進国かつ、ライドシェアリングのウーバーさえ実現していない日本では、ハードルは極めて高いが、遅れを取り戻す起死回生の一手になりうるかもしれない。

 テスラと中国勢の起こしたモビリティの破壊的変化という「大津波」は、すぐ目の前に迫っている。残された時間は少ない。

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