自動車業界で「週休3日制」は実現可能なのか
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採用の魅力づけとしての「週休3日」
コロナ禍において、トヨタ自動車などが工場勤務者を主な対象として週休3日を導入した。ただ、これはあくまでもコロナ禍による景気の減速による減産への対応としてだった。
その後、コロナ禍が落ち着きを見せ、ウィズコロナの時代に突入し、景気の揺り戻しが起こってきたことにともない、今度は別の観点から世の中的に週休3日の導入が話題となっている。
実際、2021年に政府基本方針に選択的週休3日制の導入促進・普及が示されるなど、一部企業での導入検討が進んでいる。
その目的は、主に人手不足における人材採用の魅力づけだ。要は
「ワーク・ライフ・バランス」
のひとつとして週休3日を売りにしようということである。対象も人手不足が甚だしいエンジニアやビジネス系職種に広がっている。自動車会社はGAFAやテスラなどの巨大外資による参入を受け、まさに
「War for Talent(人材獲得戦争)」
時代となっている。
ということで、今回は改めてこの新しい目的のために週休3日が可能かどうか、考えてみたい。
3タイプの「週休3日制」
週休3日制と一口にいっても、大きく三つのタイプにわけられる。ひとつは
「休みが増えることで総労働時間が減り、それに応じて報酬も減る」
タイプである。
このタイプは、みずほフィナンシャルグループなどが導入している。ふたつめは
「休みが増える一方、1日の労働時間を増やして報酬を維持する」
タイプである。
こちらはファーストリテイリングなどが導入している。三つめは
「休みが増えても1日の労働時間は変わらず、しかも報酬を維持する」
というタイプである。日本マイクロソフトなどはこのタイプである。
働く人から見れば、三つめなら取りあえず文句無しだが、企業側の負担は大きくなかなか実施しにくい。そのため、多くの企業は導入するなら他のふたつの選択肢になる。