「羽田空港アクセス線」で激突 JR東日本vs京急も、そもそもインバウンド頼みで大丈夫か

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JR東日本は羽田空港アクセス線の建設を進めており、2031年の開業を目指している。確かに羽田空港は「日本の玄関口」として知られているが、そもそも同線の需要はそんなに見込めるのだろうか。

インバウンド頼みで大丈夫か

羽田空港アクセス線構想計画案(画像:JR東日本)
羽田空港アクセス線構想計画案(画像:JR東日本)

 コロナ禍によって、羽田空港へのアクセス需要は停滞したものの、規制緩和以降、確実に戻っている。

 国土交通省はコロナ禍以前、1983(昭和58)年に約2200万人だった羽田空港の国内旅客数が年々増加し、2022年までに8550万人になると推計していた。別の資料では2030年頃に9000万人を突破し1億人に近づくと書かれている。

 また、今後の羽田空港の需要予測では、国際線の発着数、就航路線の数はさらに増加すると見込まれている。便数が増加していることは、2020年3月に発着枠拡大のために、新飛行ルートが導入されたことからもわかる。このルートは当初は東京五輪開催にともなう発着便の増加に対応する一時的なものとされていたが、事実上固定化されている。

 今後も、需要が伸びれば、羽田空港の再拡張や首都圏第三空港の可能性も検討しなければならないほどだ。どうしても、多くの人にとって空港を利用する機会というのはまれなもの。そのため

「そんなに空港アクセス鉄道はいくつも必要なのか」

と首をかしげてしまうだろう。実際には、いくつあっても足りなくなるくらいの需要増が期待されているわけである。ゆえに、JR新路線や蒲蒲線の計画は、時代遅れの大規模公共事業ではなく、需要に対応するための事業者ならば当然構想する路線なのである。

 JR東日本の羽田空港アクセス線に対して、東京モノレールと京急は駅開発によって、対抗しようとしている。

 浜松町駅では、隣接する世界貿易センタービルの再開発に併せて駅舎の建て替えが実施されている。この工事では改札口が3回に集約され、JRや地下鉄、バス路線へのアクセスが便利になる。京急は駅舎2階の乗り場を1階に移して、JRとの乗り換えの利便性を強化する。

 羽田空港の需要が右肩上がりである限り、羽田空港アクセス線への投資価値はある。それを左右するのは、今後もインバウンドだ。ただ、それで本当に大丈夫なのか。

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