「羽田空港アクセス線」で激突 JR東日本vs京急も、そもそもインバウンド頼みで大丈夫か
都営浅草線の相互乗り入れ開始
羽田空港にアクセスするなら東京モノレール、という常識は長く続いたが、それを打ち破ったのが京急だった。
京急は1993(平成5)年3月、空港線羽田駅(現・天空橋駅)に都営浅草線の相互乗り入れを開始した。この時点で、東銀座駅から羽田駅までは29分だった。もっとも、羽田駅からはさらに3分間バスに揺られなければターミナルにたどり着けなかった。
そんな京急が念願の羽田空港乗り入れを果たしたのは、1998年11月のことだった。新設された羽田空港駅まで新橋から22分、品川から14分となった。
さらに、成田空港と結ぶ日本初の空港間直通電車も開業した。当時、エアポート快速特急は羽田空港~成田空港間を1時間42分、1560円で結んでいた。東京モノレールとJRを乗り継いだ場合は2時間以上かかり、運賃は最低1920円だったことを考えると大きな前進だった。
羽田空港が国際化した現在、鉄道でのアクセスは東京モノレールと京急が競い合う状況が続いている。
羽田空港アクセス線の路線
ここに新たに参入を決めたJR東日本はどんな路線を予定しているのか。現在、JR東日本が進める計画によると、空港内には国内線と国際線のふたつの駅が設置される。
また、路線は都心と羽田空港のアクセスだけではない。新宿駅から中央線経由で山梨、長野方面へ、東京駅経由で茨城、栃木、群馬方面へ、さらには新木場経由で舞浜駅、ディズニー直結の路線が想定されている。
これは筆者(昼間たかし、ルポライター)の勝手な想像だが、中央線の
「特急あずさ」
が羽田空港行きになることもあり得るのかもしれない。
さて、JR東日本はこの新路線で1時間8本の列車を想定している。対する京急でも、運行本数を増やすため、引き上げ線を新設し、1時間9本の運転を可能にする計画を進めている。10年後には、羽田空港アクセス線の新たな戦いが始まるだろう。