「電車の自動運転」は実現するか 東武が都内の大師線での検証を計画
電車に前方障害物検知システムを搭載

東武鉄道が、列車の自動運転の実現に向けて、様々な検証を進めている。
列車の自動運転は、人口減少が進み働き手が減る中、鉄道を維持するといった面から国土交通省などで検討が進んでおり、JR東日本やJR九州なども研究に取り組んでいる。
自動化は「GoA0」から「GoA4」までレベルが定義されている。「0」「1」は運転士(と車掌)が乗り目視で運転する従来のもの、「2」は運転士が乗務するが操作は列車起動やドア扱い、緊急停止などにとどまる半自動運転、「3」は係員が乗る「添乗員付き自動運転」、「4」は係員が乗務しない自動運転だ。このほか「2.5」として、列車先頭の運転台に係員が乗務する「緊急停止操作等を行う係員付き自動運転」も存在する。
国内では、「2」の半自動運転は東京メトロ南北線や同丸ノ内線、「3」は千葉の舞浜リゾートライン、「4」は東京のゆりかもめや、兵庫の神戸新交通(ポートライナー)が該当する。「2.5」は今のところ存在しない。
東武鉄道が目指しているのは、添乗員付き自動運転の「GoA3」だ。この実現に向け同社は、走る・止まるの「走行制御」、外部からの隔離や前方の障害物を検知する「走行路上の安全確保」、異常発生時の「遠隔制御」の主に3点について検証を進めているという。
2021年9月9日(木)には、このうちの「走行路上の安全確保」に関する取り組みの一環として、東武鉄道の南栗橋車両管区(埼玉県久喜市)で、障害物検知の検証試験を日立製作所と共同で行った。
カメラとセンサを統合した前方障害物検知システムを6050型電車に搭載し、訓練線で運転。模擬障害物から試験車両を後退させて障害物の画像や距離データを取得したり、試験車両から一定距離ごとに模擬障害物を設置し、障害物の画像や距離データを取得したりする試験を行っている。
東武鉄道は今後も検証を続け、2023年度以降に、東京都足立区内を走る支線の大師線で検証運転を開始する計画だ。