労働災害を撲滅! コマツの建機「遠隔操作システム」が革新的なワケ

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労働災害事故に至る危険性は昔と比べて大幅に減っている。しかし、作業内容によっては依然として危険度が高い現場があるのも事実だ。それを解決するのが「遠隔操作システム」だ。

オフィスから操作可能

大容量データ送信のイメージ(画像:写真AC)
大容量データ送信のイメージ(画像:写真AC)

 大容量のデータを高速かつ遅延なしで送ることのできる5G通信は、建機の精密かつリアルタイムでの遠隔操作には、まさに最適な通信手段だった。

 そこでコマツとアースブレインは、5G通信の提供元であるNTTコミュニケーションの協力の下、システムの開発に着手。その後、2020年は最初の実証実験を成功させた。そして2年余りの開発熟成期間を経て、実用システムが稼働することとなったのが2023年3月のことだった。

 この遠隔操作システムにおいては、オペレーターはシミュレーターの様なカプセルコクピットに座り、データとして送られて来るカメラ映像を見ながら建機の操作を行う。操作機器を設置する箇所は、5Gの通信環境が整っている箇所であればその場所は問わない。

 オフィスの一室から遠隔地の建機を操作することも可能である。すなわち、まさに真の意味での遠隔操作システムであり、危険な現場の作業環境を大幅に改善する上での決定版的技術でもある。

遠隔操作イメージ

デジタルでつながる社会のイメージ(画像:写真AC)
デジタルでつながる社会のイメージ(画像:写真AC)

 5G通信を使った建機の遠隔操作イメージは、次の通りだ。

 まず、建機を操作するオペレーターはシミュレーターを思わせる操作カプセルコクピットに搭乗する。ここには実機と変わらないレバーやスイッチなどの操作機器が装備されている。

 またオペレーター前面には精細な画面のモニターがセットされており、これも実機と同じ視界と視覚情報が提供される。

 一方、建機側にはこれら操作システムと連携したコントロールメカが追加装備される。

 ここで使われているのは、コマツがこれまで培ってきたラジコンメカの進化版だ。ただし5Gの高速通信を最大限に生かすためのソフトウエア、実際に建機側の機器を操作するコントローラーなどは新規開発された。

 また遠隔地のオペレーターに視覚情報を確実に送るためのカメラシステムなども最新のものが使われている。

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