ANA「純利益894億円」の喜びも束の間、いまだ残る「国際線復活」「人材確保」という大きな壁
ANAホールディングスは4月27日、2023年3月期連結決算で純損益が894億円の黒字へと転換したことを発表した。今後の課題と展望とは。
北米や欧州路線は徐々に回復

一方、国際線は長引く水際対策で、インバウンド、アウトバウンドともに2019年度と比べて売り上げは66%と回復傾向にあるが、国内線と比較すると時間がかかっている。
水際対策の緩和が早かった欧州路線の復活や北米―アジア間の接続で、国際線旅客や貨物需要をうまく取り込んだことにより、2019年度と比較すると増収につながったが、国際線の便数自体はコロナ前の水準にいまだに戻っていない。
さらに、燃料サーチャージの高騰やロシアウクライナの情勢によるルート変更や減便などの影響も時間のかかっている要因だろう。
また、最も大きな収入源である
「中国路線」
の復便が遅れていることは致命的だ。
2022年12月末、中国のコロナ感染拡大を受けて、
・入国時の水際対策を強化した
・それにともない政府が中国直行便の増便を行わないよう要請した
ことなどにより、中国路線の復便に大きな遅れが生じている。中国からのインバウンドは経済効果が大きく、航空業界のみにとどまらず、日本の観光ビジネスにとって非常に影響のある存在だ。