ANA「純利益894億円」の喜びも束の間、いまだ残る「国際線復活」「人材確保」という大きな壁

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ANAホールディングスは4月27日、2023年3月期連結決算で純損益が894億円の黒字へと転換したことを発表した。今後の課題と展望とは。

3年ぶりの黒字達成

飛行機(画像:写真AC)
飛行機(画像:写真AC)

 コロナの長いトンネルをようやく抜け、航空需要の戻りを示唆する明るいニュースが飛び込んできた。

 ANAホールディングスは4月27日、2023年3月期連結決算で純損益が894億円の黒字へと転換したことを発表した。

 2022年3月期(損益1436億円)と比べて162%、コロナ前の2019年と比べても

「80%」

と、大きく回復している。

 同じくJALグループも、5月2日に純損益344億円を発表した。大手2社の黒字化は2020年3月期以来3年ぶりとなる。

「全国旅行支援」の後押し

ANAの業績推移(画像:ANAのデータを基に筆者作成)
ANAの業績推移(画像:ANAのデータを基に筆者作成)

 3年ぶりの大幅な増収を達成したANAだが、主な増収要因は政府が2022年10月から開始した全国旅行支援による国内旅行特需が大きい。

 飛行機や鉄道などの交通付き旅行代金やホテル宿泊代40%割引というキャンペーンは、国内旅行需要を一気に押し上げ、停滞ぎみだったモビリティ業界を活気づけた。

 コロナの感染が少しずつ落ち着いてきていたこともあり、このキャンペーンは「外出や旅行をしてもよい」というきっかけを作り、その後の観光需要にも大きくつながった。

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