としまえんがなくなっても「豊島園駅」は残存! 名前を冠した駅が簡単に改称できないワケ

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ランドマークがなくなった後も、変わらず残り続ける駅もある。一体なぜなのか。

改称に際するさまざまな問題

東急電鉄の東横線学芸大学駅(画像:写真AC)
東急電鉄の東横線学芸大学駅(画像:写真AC)

 さて、メリットがあるかどうかはどのように判断されるのか。

 例えば豊島園駅の場合、としまえん遊園地がもともと練馬城址豊島園という景勝地から始まったという歴史が関係する。

 駅名はとしまえん開業前から親しまれている名称のため、西武鉄道も

「スタジオツアー東京開業に際しても、変更の予定はありません」

とアナウンスしている。このように、すでに定着した名前に多くの人が愛着を持っている場合、再度新しく名付ける必要はないのだ。

 東急東横線の都立大学駅・学芸大学駅も同様である。どちらも駅名に大学名が付いているが、現在ではその名の大学は駅近くに存在しない。学芸大学駅はすでに半世紀以上前、都立大学駅も20年以上前に駅名が実態に合わなくなっている。

 東急電鉄は1999(平成11)年に「駅名が紛らわしい」という声を受けて、両駅の地元である目黒区民に駅名改称に関するアンケートを行っている。3分の2以上の賛成があれば変更する方針としていたが、アンケートの結果、学芸大学の駅名変更に賛成したのは549人、反対は934人。都立大学は賛成630人、反対436人だった。

 いずれも3分の2以上の賛成とはならず、改称に至らなかった経緯がある。

「長年親しんだ駅名を変えないでほしい」

という声が多かったのだ。ときがたつとともに、駅名が地域の呼び名として定着した例といえるだろう。

 メリットを判断する別の事情もある。それは駅名の改称に伴い発生する

「多額の費用」

である。

 自動改札機や券売機、車両の表示、駅の案内など、関係するものを全て改修・交換しなければならない。しかも、その費用は駅名を変更したい関係者が負担するのが原則だ。

 例えばJR常磐線佐貫駅が龍ケ崎市駅に改称された際には、龍ケ崎市が主導して駅名改称を推進したため、費用は市の負担となった。佐貫駅の駅名改称にかかる当初概算負担額は3億8894万6000円。支払う費用に見合うだけの効果が期待できなければ、費用を負担してまで駅名を改称するのは難しい。

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