北海道新幹線の運賃「やたらと高額」なワケ 普及の壁となる安価フェリーの存在、札幌延伸まで青函両岸の一体化急げ
2030年度の札幌延伸が予定されている北海道新幹線。延伸工事が進むなか、開通後の運賃についてもその金額が注視されている。いったいなぜか。
「津軽海峡交流圏」という可能性
前述のとおり、フェリー2社が24時間運行するほど人や荷物の流れがある「津軽海峡交流圏」では、北海道新幹線開通以降、新たな経済圏確立の構想が打ち出されている。
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津軽海峡交流圏とは、青森県全域と道南を含む地域を指す。交流圏の
・人口:約180万人
・総生産額:約5兆8千億円
・観光客数:約4400万人
という圏域であり、東北では仙台圏域に並ぶエリアとなる可能性がある。近年、津軽海峡では国際コンテナ船の往来が活発になっていることもあり、両岸に国際的物流拠点が生まれる兆しもある。
なにより、歴史的に見れば道南は道内の別の地域と比べて、青森県側との交流が強固だった。日本側から見れば、北海道への進出の始まりは津軽十三湊(とさみなと)を本拠地としていた安東氏である。
14世紀になると渡島(おしま)半島に進出した和人により「道南十二館」が生まれ、交易拠点として栄えるようになった。これはアイヌとの交易としてイメージされがちだが、実際にはアイヌの仲介による大陸との交易も盛んだった。北方交易で得られた物品が、津軽海峡を通って本土へと運び込まれていた。
ゆえに、北海道新幹線が開通した現在、両岸の経済的一体化が思考されるのは当然といえるだろう。その促進のため、7190円の運賃はあまりにも障害になる。料金をフェリー並みに値下げしたら、将来への投資となるのではないか。
※5月6日8時55分、記事内容を一部修正しました。