北海道新幹線の運賃「やたらと高額」なワケ 普及の壁となる安価フェリーの存在、札幌延伸まで青函両岸の一体化急げ

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2030年度の札幌延伸が予定されている北海道新幹線。延伸工事が進むなか、開通後の運賃についてもその金額が注視されている。いったいなぜか。

料金設定と値上げの実態

青函フェリー(画像:写真AC)
青函フェリー(画像:写真AC)

 対して、東海道・山陽新幹線はJR東海と西日本の2社にまたがっているものの、国鉄時代を引き継ぎ、通しで計算されている。そのため、東京~新函館間862.5kmに近い、東京~広島間894.2kmの特急料金は1万9080円となっている。東京~広島間の方が少し距離が長いにもかかわらず、3610円も安いのだ。

 加えて、料金が高くなった理由は、

「青函トンネルの維持費が高い」

ことが挙げられる。

 青函トンネルの維持・設備更新費は年間約34億円である。JR北海道は、この費用を特急料金に盛り込んだ。そのため、特急料金はさらに割高な設定となったのだ。

 北海道新幹線の開通にあたっては、

・在来線より距離が短くなった(11.6km短縮)
・幹線に格上げされた

ため、新青森~新函館北斗間の運賃は2810円となった。それまでの在来線の青森~函館間の運賃は3240円なので、430円の値下げである。

 これらを踏まえて開業前と開業後の運賃を示してみる。

●開業前
・東京~函館(新幹線と在来線特急を乗り継ぎ)
・運賃:1万1880円
・特急料金:8320円
・合計:2万200円

●開業後
・東京~新函館北斗
・運賃:1万1560円
・特急料金:1万1130円
・合計:2万2690円

 確かに値上げされているが、驚くほど割高になったわけではない。にもかかわらず、「北海道新幹線 = 割高」というイメージが定着してしまった。津軽海峡を挟み、大幅に時間が短縮される新青森~新函館北斗間でもだ。

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