新横浜駅周辺は「西武王国」 鉄道乗り入れないのになぜ? その背後にあったどす黒い歴史とは

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西武鉄道は新横浜線に乗り入れていないにもかかわらず、新横浜駅周辺には新横浜プリンスホテル、新横浜ペペなど、西武系の施設が目立つ。いったいなぜか。

国会をにぎわせた大問題

梶山季之『夢の超特急』(画像:角川書店)
梶山季之『夢の超特急』(画像:角川書店)

 昭和時代後期の小説家・梶山季之が1963(昭和38)年に発表した小説『夢の超特急』ではフィクションの体裁をとりながらも、その買収の手法を克明に描いている。

 この作品で描かれているのは、土地所有者に対して「工場の建設用地」として話を持ちかけ、神社に寄付して信用を買い、高級料亭で地主を接待して言いくるめるという手法だった。

 このことは、当時も大きな問題となり、国会で何度も取り上げられている。1962年10月29日の参議院決算委員会では、社会党の大森創造参議院議員が、日本開発株式会社の中地新吾という人物が、三和銀行からの融資を得て買い占めを行っていることを明らかにしている。

 議事録では、このほかにも、予定地の土地を「大胆に買いまくっている」人物がいることが挙げられている。また、国鉄内部に情報を漏らした人物がいる(背任の疑いとなる)のではないかとの追求が記されている。

 公表されていなかった国鉄の駅設置計画が漏れ、土地の買い占めが行われているのだから、いわずもがな大問題である。

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