街の「EV充電器」はなぜ全然増えないのか? 事情は想像以上に複雑、もはや「鶏と卵」論争している場合ではない

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EVの普及にはさまざまな課題が立ちはだかっている。そのうちのひとつに充電インフラの整備がある。しかし現実は遅々として進んでいない。いったいなぜか。

土地と不動産の有効活用

都市部の空き地(画像:写真AC)
都市部の空き地(画像:写真AC)

 人口密度の高い都市部では、土地が少なく高価であるため、EV充電ステーションに適した場所を見つけるのは困難な場合がある。

 充電ステーション用の土地を確保するための課題に関しては、

・駐車場
・ショッピングセンター
・公共スペース

など、既存のインフラに充電器を組み込むための新たなビジネスモデルの開発や、公共インフラ整備的なアプローチを探る必要がある。

まとめ

EV充電器が立ち並ぶ未来のイメージ(画像:写真AC)
EV充電器が立ち並ぶ未来のイメージ(画像:写真AC)

 このように、充電器の設置が進まない根本的な理由にはさまざまな要因や課題が存在し、それを解決するための唯一解は存在しない。しかし、課題の共通項から見えてくる、共通解的な課題解決への道筋をいくつか示せたのではないだろうか。

・高い初期/維持費用への対応
・新しいビジネスモデルの模索
・標準化の促進
・電力網の整備
・不動産の創造的活用

といったことを総合的に行っていけば、EVと充電インフラの「ニワトリとタマゴ」問題も中・長期的には解消されていくのではないだろうか。

 もちろん、中国のNIOなどが進めるBaaSモデルのように、「充電を必要としないバッテリー交換式のEV」の可能性も排除すべきではない。

 脱炭素化の唯一解がEVシフトではないという議論もあるが、カーボンニュートラルの実現には一定程度のEV普及は必要不可欠だ。

 EV充電器の普及が進まない根本的な原因を分析し、体系的に対処することで、よりクリーンで環境に優しく、持続可能な次世代交通の実現に、本稿で行った整理が一助になることを願っている。

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