楽観的すぎ? 二輪の脱炭素対応 交換式バッテリー実験1年も成果示されず 自工会会見

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日本自動車工業会の豊田章男会長がカーボンニュートラルへの強いメッセージを発した一方で、バイクの将来像は漠としたままだ。交換式バッテリーという唯一示されている選択肢はどうなったのか。会見で語られたのは、「遠い将来」だった。

電動バイクのバッテリーステーション実験 コロナ禍で期間延長

「eやんOSAKA」で使われるホンダ「ベンリィ e:」(中島みなみ撮影)。
「eやんOSAKA」で使われるホンダ「ベンリィ e:」(中島みなみ撮影)。

 日本自動車工業会が2021年9月9日、定例会見を開催。テーマは「カーボンニュートラル」だった。豊田章男会長は「自動車産業はカーボンニュートラルのペースメーカーとして行動し続ける」と、決意を表明した。

 そんな中、二輪車分野の取り組みについて、副会長の日高祥博(「高」ははしご高)ヤマハ発動機社長が語ったのは、実施中の電動バイク実証実験「e(ええ)やんOSAKA」の取り組みだ。この実験、約1年の実験期間終了間際になって、2022年3月まで延長することが明かされた。

「eやんOSAKA」は昨年の8月、大阪大学、自工会二輪車委員会二輪EV普及検討会、大阪府の4者で共同発表された。現在のところ、二輪車のカーボンニュートラルに向けて自工会が具体化している唯一のソリューション(解決策)だ。今回の会見に限らず、日高氏はたびたびこの実験に期待を寄せる発言を続けている。

 ホンダ「ベンリィ e:」を実験車に搭載された交換式バッテリーを、街のコンビニなどに設置したバッテリー・ステーションで交換。充電時間0分で航続距離を延ばす、という構想で、EVバイクが選ばれる移動手段として社会実装できるかを検証する。実験は約1年間を予定し、本来であれば、検証成果が発表されるべきタイミングだった。

「これまで3期分の実験が完了し、4期目に入っている。総勢60人に参加いただいて、60%のみなさんから肯定的な評価をいただいている。まだ募集をしているが、募集枠を上回る応募をいただいている」

 9日の会見で日高氏はこう説明したが、実験の延長についての言及は今回が初めて。しかし、延長の決定自体は、今春になされていたという。

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