中古車で一儲け? 近年「納屋」で放置されていたクルマに高査定が連発しているワケ

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中古車市場で高査定を得ることができるクルマとはどういったものだろうか。近年人気の「バーンファインドカー」「プリザーブドカー」を基に考える。

「プリザーブドカー」とは何か

フォードエコノライン。アメリカで見掛けたプリザーブドカー。ボディはサビまみれでヘコみも多数。塗装も剥げているがタイヤとホイールはピカピカである(画像:剱持貴裕)
フォードエコノライン。アメリカで見掛けたプリザーブドカー。ボディはサビまみれでヘコみも多数。塗装も剥げているがタイヤとホイールはピカピカである(画像:剱持貴裕)

 その上で、こうしたバーンファインドカーには別の楽しみ方が生じることとなった。それがプリザーブドカーである。

 プリザーブドカーは英文では「Preserved Car」と表記する。「Preserved」とは「保存された」という意味だ。日本では生花をあたかも造花の様に加工した「プリザーブドフラワー」という使い方が有名である。

 プリザーブドカーとは、バーンファインドカーのような、一見しただけでは単なる傷んだクルマの外観を「あえて」そのままの状態で維持保存している個体を指す。これは傷んだ箇所こそは、そのクルマが今まで積み重ねてきた歴史の証人であるという考え方にほかならない。

 もちろん全て傷んだままにしているわけではない。重要なのは一見ポンコツに見えたとしても、クルマとして重要な機能部分。エンジン、トランスミッション、アクスル、サスペンション、ブレーキ、ステアリングなどはきっちりと整備されていることなのである。

日本にもあった価値基準

ポルシェ356。典型的なバーンファインドカー。納屋でホコリまみれで発見された後にそのままの状態でショーに出品された個体。二分割のウインドシールドは最初期型。隣に見えるのは同年代のフルレストア車(画像:剱持貴裕)
ポルシェ356。典型的なバーンファインドカー。納屋でホコリまみれで発見された後にそのままの状態でショーに出品された個体。二分割のウインドシールドは最初期型。隣に見えるのは同年代のフルレストア車(画像:剱持貴裕)

 面白いことにプリザーブドカー人気が高まるに従って、アメリカなどでは新たなカスタム手法が現れた。

 それはボディの塗装やクロームトリムなどに対して、サビや汚れをあえてペイントで表現する手法である。使い込まれ風雪を乗り越えたボディのディテールは、もはや個性であるという考え方だ。

 ところで実はわが日本にもこうしたバーンファインドカーとプリザーブドカーを思わせる価値基準は以前から存在していた。それは

「未再生原型車」

と呼ばれているクルマたちである。

 その文字列が意味するのは、新車時から不必要な箇所には何も手を入れていないクルマということ。ただし査定的には、何もしていない代わりにできるだけ安くというのが従来の基本的姿勢だった。

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