渋滞の経済損失「12兆円」 日本もロンドンにならい“渋滞税”導入すべきか? 30%削減の実績も 小売店のダメージ心配だ
イギリスのロンドンでは、「渋滞税」と呼ばれるロードプライシングを行って、2023年で20年になる。その効果のほどは。
渋滞税のデメリット

この渋滞税に理解を示す人も多いといわれるが、反対者も当然いる。まずはドライバーだ。
渋滞税のエリアを含め、それを大きく取り囲むエリアにはまた別の課税エリアがある。排出ガス基準を満たさない車両の走行に課税する「超低排出ゾーン(ULEZ)」は2019年に導入され、2023年8月29日にすべてのロンドン自治区に拡大予定のものである。
運転する日は住人であっても1日あたり12.50ポンドの料金を支払う必要がある。つまり、渋滞税とULEZと両方支払わないといけない場合もあり、ドライバーには厳しい。車自体やガソリンとEVのチャージなどの売り上げなど、経済にも悪影響を与える。
さらに、ゾーン内小売店にも大きな影響を与える。
例えば、顧客が車で訪れることも多い高級デパートである「ジョン・ルイス」で唯一ゾーン内にあるオックスフォード・ストリート店は、導入の年に前年比7%の売り上げ減少があった。これはゾーン外の近隣店舗では見られなかったという(2023年1月23日付『CITY MONITOR』)。
パンデミックの間に渋滞税が週末にも適応されるようになったことで、テイクアウトや美容室など小規模ビジネスのオーナーのなかには、顧客が70%減ったと主張する人もいる(2022年8月19日付『Mail Online』)。