渋滞の経済損失「12兆円」 日本もロンドンにならい“渋滞税”導入すべきか? 30%削減の実績も 小売店のダメージ心配だ

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イギリスのロンドンでは、「渋滞税」と呼ばれるロードプライシングを行って、2023年で20年になる。その効果のほどは。

渋滞税の現在

ロンドンの渋滞(画像:写真AC)
ロンドンの渋滞(画像:写真AC)

 このような仕組みを最初に始めたのはシンガポールだが、2か国目であるイギリスのロンドンでは、「渋滞税」と呼ばれるロードプライシングを行って、2023年で20年になる。

 時速15km程度でしか進めなかったロンドンの中心部(首都の1.3%)に入るのに、5ポンドの支払いが義務付けられたのが2003年2月のこと。渋滞税はその後8ポンド、10ポンドと上がり、現在は15ポンド(約2513円)である。20年で3倍に増えた。

 対象となるのは、平日は朝7時から18時、土日および祝日の12時から18時(クリスマスから新年の祝日は除く)の時間帯だ。

 支払いは日本のETCのような自動払いと、日を指定してウェブなどで都度払いするものがある。指定日は何度対象ゾーンに出入りしてもいいので、1日パスのようなものだ(1週間や1か月まとめて払うことも可能)。

 都度払いの場合は当日までに支払うのがよく、後払いも可能だが割増料金になり17.5ポンドとなる。3日たっても支払わないでいると、罰金通知(PCN)が送られてきて、14日以内なら90ポンド、28日以内なら180ポンド、それを超えると270ポンド(約4万5225円)とかさんでいく。支払いは、ゾーン内のカメラにより、車のナンバーが自動認識されるシステムである。

 なお、タクシーなどの公共交通機関、自動二輪車は免除される。電気自動車(EV)や水素燃料電池自動車も2025年のクリスマスまでは支払う必要がない。許可を受けたゾーン内の住人には9割引きなど、各種割引がある。

 ゾーンは2007年に西部に拡張されたが、住民や地元企業からの抗議を受けて、2010年末に元に戻った経緯がある。

 また、パンデミック(世界的大流行)の間には、ロックダウンの際に医療従事者などキーワーカーが車通勤できるように中断、逆に週末に対象時間が延長されるなどといった変化もあった。

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