「オートバイ」と呼ぶのは日本だけ! 背後にあった知られざる歴史的背景とは

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日本では一般的に、エンジンが付いている二輪車を「オートバイ」と呼ぶことが多い。しかしこれは和製英語だ。なぜ広く使われているのか。

次第に一般化した「モーター」

オート三輪(画像:写真AC)
オート三輪(画像:写真AC)

 それに対してautoの方は二輪車に続いて三輪の小型トラックを組み合わされ、

「オート三輪」

として広く親しまれることとなる。

 ちなみに、オートバイに対してモーターバイクやバイクモーターという呼称も後になって登場する。しかしいずれも一般名詞というよりは固有の商品名の一部としてわずかに使用されただけだった。

 なお、戦後になるとエンジンとしてのmotorの呼称も

「モーターマガジン」
「モーターファン」

といった雑誌の名とともに、次第に一般化することとなった。

 しかしその段階でもエンジンはあくまでエンジンであり、エンジンをモーターと呼ぶことはマイナーかつマニアックだったことは否めない。ちなみにモーターボートやモーターグライダーといった呼称は欧米と同じだったが、これは例外中の例外だろう。

英語圏以外での呼称

バイクの並んだパリの街並み(画像:写真AC)
バイクの並んだパリの街並み(画像:写真AC)

 日本におけるオートバイという呼称のルーツはわかった。モーターサイクルという呼称が英語圏ではメジャーなこともわかった。それでは英語圏以外でのエンジン付き二輪車の呼称はどうなっているのだろうか。

 ちなみに、フランス語では「モトシクレット/motocyclette」という。イタリア語では「モトシクレッタ/motocicletta」である。さらにドイツ語では「モトラッド/motorrad」である。

 いずれもベースとなっているのは英語のmotor cycleである。これはモーターサイクルこそが最もメジャーな呼称であるということの証明でもある。

 なおmotoというシンプルな単語だが、英語圏以外のヨーロッパではそれだけでモーターサイクルの意味を持つ。

 その結果、イタリアやフランスのモーターサイクルブランドの頭に付けられていることも多い。「モトグッツィ/moto guzzi」、「モトモリーニ/moto morini」、「モトベカン/moto becane」などはその代表例である。

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