「オートバイ」と呼ぶのは日本だけ! 背後にあった知られざる歴史的背景とは

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日本では一般的に、エンジンが付いている二輪車を「オートバイ」と呼ぶことが多い。しかしこれは和製英語だ。なぜ広く使われているのか。

「オートバイ」が生まれたきっかけ

関東大震災直後の銀座。「月刊オートバイ」が創刊した1923年 に発生(画像:時事)
関東大震災直後の銀座。「月刊オートバイ」が創刊した1923年 に発生(画像:時事)

 ここで今まで出て来た単語を一度整理しておこう。

 最初に、二輪の乗り物を意味するバイシクルという言葉があった。次にそれを略したバイクという言葉が生まれ、さらにエンジンを意味するオートやモーターが生まれ、それらを付加したオートバイクやモーターバイクという単語が誕生する。ここまでが19世紀末から20世紀初頭に掛けてのことである。

 わが日本において、オートバイクをベースにそれを略したオートバイという単語が生まれるきっかけとなったのは何だったのだろうか。

 それは、1923(大正12)年に専門雑誌である「月刊オートバイ」が創刊したことにあるというのが現代の定説である。1923年という時代はわが日本においてはまさしくエンジン付き二輪車の創生期だった。そうしたなかで雑誌名と同じオートバイという呼称が拡大浸透していったということである。

 一方、ほぼ同時期には前述したautoと同じくエンジン付きを意味するmotorとcycleを合体した単語が登場する。オートバイクと同じくエンジン付き二輪車の呼称である「モーターサイクル/motor cycle」である。

 実のところ欧米の英語圏ではこちらの方が圧倒的優勢とともに定着した。それは現在も変わっていない。海外でオートバイという和製英語は通じないが、モーターサイクルは普通に通じる。

 内燃機関創生期の日本では、エンジンとしての「motor」という単語が定着しなかったのには理由がある。これはあくまで私見ではある。明治から大正初期に掛けて、汎用(はんよう)電動機としての「electric motor」が「モートル」という商品名とともに相当数が普及していた。すなわちこの時代にmotorを掲げることは電動であるとの誤解を招く恐れがあったということである。

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