「年収さえ上げれば、トラックドライバーは増える」は間違い! 運送業界を停滞させる複合要因、求貨求車サービスの課題から考える

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「物流の2024年問題」を筆頭とする物流クライシスの解決手段として注目される求貨求車サービス。だが本当に求貨求車サービスは物流クライシスの救世主となりうるのだろうか。

求められるダンピング入札防止策

コンプライアンスのイメージ(画像:写真AC)
コンプライアンスのイメージ(画像:写真AC)

 たしかに求貨求車サービスは、運送効率の向上を通じて、物流クライシスの解消へと貢献できる。だが、その役目を果たすためには、荷主と運送会社、双方が満足できるサービスでなければならない。

 もちろん、この前提には、

「コンプライアンスも順守した上で適正な利益が得られる」

という安心感と実績が必要だ。

 日下氏は「自由度の高いプラットホームほど粗悪になりがちです」と指摘した上で、その対策として、求貨求車サービスには

「適正なキュレーション」

が必要と提案する。

 本来、キュレーションとは、博物館や美術館などにそれぞれにふさわしい展示物を収集・選別する行為を指す。転じて、現在では、インターネット上の情報を収集し、それを適切に組み合わせ、あるいは分類することで、新たな価値を創出することを指す。

 ここで言うキュレーションとは、求貨求車サービスで取り扱われる、すなわち運送案件、運賃、荷主、運送会社などの情報について、評価したり、あるいは不正なものを排除したりすることで、質の高い情報だけを選別し、利用者に提供していくことである。

 例えば、

・運賃の未払いがある荷主や事故を起こした運送会社に対し、減点評価をする仕組み
・輸送行程や運賃などを総合的に判断し、運送案件を評価する仕組み

などだ。

 当然、ダンピング運賃での入札や、不当に安い運賃を要求する運送案件が排除される仕組みも必要だ。

 日下氏率いるアセンドでは、求貨求車サービスの過去取引データを分析し、適正な相場観の運賃を算出し、利用者に提案するダイナミックプライシングを研究している。こういったサービスが、運送会社の原価算出ソリューションとともに利用されれば、求貨求車サービスのサービスレベル向上も期待できるだろう。

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