「年収さえ上げれば、トラックドライバーは増える」は間違い! 運送業界を停滞させる複合要因、求貨求車サービスの課題から考える
「物流の2024年問題」を筆頭とする物流クライシスの解決手段として注目される求貨求車サービス。だが本当に求貨求車サービスは物流クライシスの救世主となりうるのだろうか。
求貨求車サービスは健全なのか

国土交通省は、運送会社の適切な運賃収受に向けた課題の抽出・整理を目的として、求貨求車サービス「ウェブキット」における2014年~2021年(7年分)の取引データを調査・分析した。
本業務を受託したアセンド(東京都新宿区)の代表取締役社長・日下瑞貴氏が、「調査・分析結果からは、『運賃が高くなる』にしても、あるいは『運賃が安くなる』にしても、客観性がないことが分かります」と指摘したことは、前回記事で述べたとおりである。
一例を示そう。
ウェブキットにおける2013年12月~2023年2月までの、成約率と運賃指数(2010年4月の運賃を100とする)を時系列でグラフ化してみた。市場原理──「供給過剰は価格の低下を招き、逆は価格上昇を招く」──に一見従っているように見える。
市場原理に従えば、成約率が上がれば運賃指数は下がるはずなので、本来ふたつの折れ線グラフは、鏡面対称になるはずだ。しかし、その振れ幅は時期によって大きく差が生じている。
2018年6月以降、成約率の変動以上に過敏に運賃指数が上がっている。コロナ禍の2020年3月以降、成約率/運賃指数の振れ幅が比較的落ち着いてきたが、2021年12月以降、再び振れ幅が広がっていること。
これらは、日下氏の言葉通り、求貨求車サービスにおける運賃が、必ずしも市場原理で説明できるものではなく、
「さまざまな社会情勢に左右されやすい」
ことを意味している。