「年収さえ上げれば、トラックドライバーは増える」は間違い! 運送業界を停滞させる複合要因、求貨求車サービスの課題から考える

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「物流の2024年問題」を筆頭とする物流クライシスの解決手段として注目される求貨求車サービス。だが本当に求貨求車サービスは物流クライシスの救世主となりうるのだろうか。

求貨求車サービスという「救世主」

ECのイメージ(画像:写真AC)
ECのイメージ(画像:写真AC)

「1.EC拡大による宅配便の急増」について言えば、ECビジネスは今後さらに拡大することはあっても、大幅に縮小する見込みは少ない。

「3.トラックドライバー不足(ドライバーの労働環境悪化と、少子高齢化による構造的な原因)」については、少子高齢化による労働人口減少が進む日本社会において、トラックドライバーという職業が、他の職業を差し置いて人気職業となることは考えにくい。そのため、ドライバーの頭数を確保しようという対策は、社会構造上、難しい。

 現在、日本社会が直面している物流クライシスに対し、国が行おうとしている対策の主軸が、輸送リソースの減少にも耐えうる、

「効率的な輸送ネットワークの実現」

に置かれていることは、既に当媒体の別記事「「荷主にもペナルティー」 国の新方針を物流企業が能天気に喜べないワケ」(2023年2月10日配信)で述べた。

 無人運転トラックやドローンなど、テクノロジーの進化によって、物流クライシスを回避しようという試みは、将来的には有効であり、推し進めるべき施策ではある。だが、2024年4月以降、輸送能力が14.2%、4億トン相当不足するとされる「物流の2024年問題」には到底間に合わない。

 だからこそ、極論すれば、1日8時間しかトラックが稼働できないとしても、より輸送効率を高める対策が今求められているのだ。

 そのために必要なのが、

・荷役時間や待機時間を短縮することで無駄な時間を抑える対策
・積載効率を高めることができる共同配送

などである。

 求貨求車(きゅうかきゅうしゃ)サービスは、貨物とトラックとマッチングさせることで、トラックの空車回送を抑制し、積載効率を高める効果があるものとして期待されている。

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