航空会社が手荷物を無断で処分? コロナ禍が生み出した「ロストバゲージ」大量発生問題とその顛末とは

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2022年春ごろから、ヨーロッパや北米の主要空港で、出発地で預けたスーツケースなどの手荷物を乗客がスムーズに受け取れない「ロストバゲージ」が頻発した。その背景には何があるのか。

注目集まる「AirTag」

アップルの「AirTag」(画像:pixabay)
アップルの「AirTag」(画像:pixabay)

 今回の一連の騒動で、アップルが製造・販売する「AirTag」に注目が集まった。

 AirTagは紛失防止のスマートトラッカーで、自分のiPhoneやiPadなどとペアリングするとアプリで追跡できる。ロストバゲージした手荷物を乗客がAirTagで追跡し、航空会社に対して「ここにある」と提示して発見に至ったケースもある。

 わずかひとつふたつの手荷物とはいえ、紛失されては困る。AirTagによって手荷物を追跡できる安心感は大きいのだ。

 一方、航空会社はただでさえ少ないスタッフで対応を行っていたが、そこに手荷物調査という新たな作業が加わってしまった。

 そんななか、ルフトハンザ航空が2022年10月、スーツケースなど手荷物のなかに、電源が入った「AirTag」を入れることを禁止すると発表し、話題となった。ルフトハンザ航空は国際民間航空機関(ICAO)の危険物に関する規制をもとに、禁止の理由を説明した。

 しかし、米国運輸保安局(TSA)はコイン型リチウム電池(ボタン電池)で動くAirTagに関して

「機内持ち込み、および受託のそれぞれの手荷物で許可している」

とし、専門家からも

「AirTag搭載のボタン電池はスマートフォンのリチウムイオン電池と異なる」

と指摘された。その結果、ルフトハンザ航空は1週間ほどで禁止を撤回した。ちなみに、同社に追随するほかの航空会社は出てこなかった。

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