航空会社が手荷物を無断で処分? コロナ禍が生み出した「ロストバゲージ」大量発生問題とその顛末とは
発生したさまざまなトラブル

2022年発生のロストバゲージ問題において、よくあったケースを紹介する。
出発地で預けた手荷物を乗客が到着地で受け取れず、ロストバゲージになった。数日たっても航空会社からは何の連絡もなく、手荷物も届かない。航空会社に問い合わせても、はっきりとした回答が得られなかった。
そのため、スーツケースに入れた「AirTag」で追跡してみると、空港とは全く別の場所にあることがわかった。航空会社にその状況をいくら説明しても積極的に動かなかったため、自力でスーツケースを取り戻した。見つかったのはなんと
「ゴミ捨て場」
で、その後、現地の警察が動いた。
ほかのケースも紹介しよう。ある乗客は、ドイツのフランクフルト空港で乗り継ぎ時にロストバゲージとなり、航空会社に何度電話したがつながらなかった。そのため、最終目的地であるイタリアの空港に連日通って必死に交渉した。そして、同様の乗客とともに空港内の手荷物保管所へ入り、自力で見つけた。
また、フランス・パリのシャルルドゴール空港で積み残された手荷物が手荷物タグのエラーにより、数日後の便にも搭載されなかったケースもある。結果、その翌日にオランダのアムステルダム経由で大阪へ届いた。
すぐに発見できない理由

持ち主不明のスーツケースなどは、通常、航空会社が一定期間保管した後、廃棄処分される。なかには、慈善団体に寄付されるケースもある。
今回の騒動では、乗客が航空会社に何度も問い合わせていたにもかかわらず、勝手に慈善団体へ寄付されたケースもあった。
手荷物の取り扱いは、航空会社から委託された会社のスタッフが行う。日本の空港の作業風景は実に丁寧だが、海外では
・手荷物を放り投げる
・野ざらし状態にする
ということも少なくない。
しかも、国が異なれば委託会社も異なるため、膨大に積み残された手荷物をすぐに調べるのは容易ではない。さらに、手荷物タグが印刷不鮮明だったり、うっかり外れてしまっていたりすると、追跡そのものが困難となる。