意外と知らない? スズキがインドで「4割強」のシェアを独占している地道すぎる理由

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スズキの車がインドで圧倒的シェアを誇っているのをご存じだろうか。1980年代インド政府が「国民車構想」を打ち出した際、インドの市場に日本からスズキが参入することになったのがその始まりだ。

シェアが低下し始めたワケ

インド市場の乗用車シェア(画像:スズキ)
インド市場の乗用車シェア(画像:スズキ)

 インド政府は2017年、「2030年までにガソリン車・ディーゼル車の国内販売を禁止し、販売する自動車を電気自動車(EV)のみに制限する」と方針を明らかにした。実はインドは世界でも深刻な大気汚染問題を抱えており、自動車の排ガスはその最大の要因と考えられていることから、政府は環境対策にかじを切ったのだ。

 一方スズキは、2020年をめどにリチウムイオン電池を使ったハイブリッド車(HV)をインド市場へ投入する計画をとっていた。ところがインド政府の

「HVを飛び越えて、EVにシフトする」

という急な方針転換があったことで、スズキは戦略変更を余儀なくされてしまう。インド市場でライバルとなる韓国の現代自動車、インドのタタ・モーターズ、同じくマヒンドラ&マヒンドラなどはすでにEVの製造・販売に着手しており、スズキはEVの参入に大きく出遅れた形となっている。

 EVに限って言えば、タタ・モーターズと現代自動車などがインド市場をほぼ独占。インドのEVシフトの波に乗り切れなかったスズキは韓国勢と現地メーカーの攻勢を受け、2021年3月期の乗用車販売数はシェアを47.7%に落とした。2021年度で見ると、スズキが占める割合は43.4%となっている。

 2022年には日本を抑え、世界第3位の自動車消費市場となったインドには世界から注目が集まっている。インド市場の獲得に各国のメーカーが火花を散らすという群雄割拠の状況なのだ。

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