トラック側面の文字が「逆さ」になっているワケ ちまたの「昔は右から読んだ」説を一蹴する!

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最近、トラックの車体の「逆向き文字」をあまり見かけなくなった。昭和の頃には当たり前だったが、今ではその数を減らしている。そもそもなぜ逆向きなのか。

最近見かけなくなった「逆向き文字」

トラックの「逆向き文字」イメージ(画像:写真ACの画像を基にMerkmal編集部にて加工)
トラックの「逆向き文字」イメージ(画像:写真ACの画像を基にMerkmal編集部にて加工)

 最近、トラックの車体の「逆向き文字」をあまり見かけなくなった。昭和の頃には当たり前だったが、今ではその数を減らしている。

 この表記について記す前に、横書きで書かれた文字を右から左へ読むようになったのはいつ頃かということを、まず解説していこう。きっと読者のなかにも、その理由について、次のように考えている人が多いからだ。

「昔(あるいは戦後)は右から横書きを読んでおり、戦後に改められたものが車体には残っている」

子どもの頃に大人からこう教わった人は少なくない。しかし、これではなぜ車体にだけ昔の表記が残ったのかという理由を説明できない。

横書きが始まったのは幕末から

屋名池誠『横書き登場―日本語表記の近代』(画像:岩波書店)
屋名池誠『横書き登場―日本語表記の近代』(画像:岩波書店)

 現在、日本語は縦書き・横書きの両方で表記できるが、ともに使用されるようになったのは幕末の頃からだ。西洋言語の普及をきっかけに、日本語を横書きで表記することが始まった。

 それまで、日本語に横書きは存在しなかった。こう書くと寺院の山門に掲げられた「○○寺」という額は横書きだ――という疑問を感じる人も多いだろう。

『横書き登場―日本語表記の近代』(岩波新書)の著書がある日本語学者・屋名池誠(やないけ まこと)の研究によれば、これは

「横書きではない」

という。

 一見横書きに見えるが、実は

「一行が一文字だけの縦書き」

というのである。実際、横書き発生以前、縦に二文字入る場合には縦書きされており、署名が縦書きされていることから、そのことは立証できるとのことだ。

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