日本「米国追随」にいら立つ中国 反スパイ法改正で駐在員どうなる、変化の政治力学を読み解く
米中対立や台湾情勢など、日本を取り巻く世界情勢が厳しくなるなか、中国・北京で3月、50代の日本人男性がスパイ行為などを取り締まる国家安全当局に拘束された。
軍事同盟国と最大貿易相手国の狭間
バイデン政権は2022年10月、先端半導体関連の技術が軍事転用される恐れから、中国への半導体輸出規制を強化し、先端半導体に必要な製造装置で高い世界シェアを有する日本に同規制に加わるよう要請した。
中国はこれに強い不満を示し、中国は国益を守るために断固とした対抗措置を取ると強くけん制し、今日、電気自動車や風力発電用モーターなどに欠かせない高性能レアアース磁石の製造技術の禁輸を検討していると一部で報道されている(4月6日)。
また、中国共産党機関紙の環球時報は4月3日、日本が
「米国の手先とならない」
ことが、建設的かつ安定的な日中関係の構築のための前提条件になるとの社説を掲載した。中国の外交担当トップ王毅氏も、日本国内の一部勢力が米国追随外交を徹底し、中国の核心的利益に触れる問題でわれわれを挑発していると不快感をにじませた。
日本にとって、米国は替えがきかない軍事同盟国である一方、中国は最大の貿易相手国であり、米中対立は日本にとって極めて重い問題だ。
しかも、地政学に日本は米国にとって中国の太平洋進出を抑える防波堤的役割を担うようになっており(台湾もそうだが)、日本ほど米中対立のはざまから抜け出せない国はほかにないかもしれない。だが、日本国家として日米関係、日米同盟は外交の基盤であり、それを差し置いて対中関係を重視することはない。
よって、今日、中国は対中で日本が米国とどこまで足並みをそろえるかを注視しているが、その状況のなかで日本は対中関係を探っていくことになる。
このような厳しい政治力学の変化を考慮すれば、今後日中関係がさらに冷え込む可能性は十分にあり、邦人拘束の問題でも強い懸念が引き続き残る。