日本「米国追随」にいら立つ中国 反スパイ法改正で駐在員どうなる、変化の政治力学を読み解く

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米中対立や台湾情勢など、日本を取り巻く世界情勢が厳しくなるなか、中国・北京で3月、50代の日本人男性がスパイ行為などを取り締まる国家安全当局に拘束された。

もはや不可逆的な米中対立

電子基板(画像:写真AC)
電子基板(画像:写真AC)

 まず、今後改正反スパイ法が施行されたからといって、邦人拘束の

「ドミノ現象」

が生じる可能性はかなり低いだろう。

 対外的影響力の拡大を進める中国が最も避けたいのは、米国など対立国以外の国々(ロシアやイラン、グローバルサウスなど)との関係悪化であり、“良い中国”のイメージを壊したくない。

 邦人拘束において政治力を強く醸し出せば、グローバルサウスの国々のなかから中国警戒論が広がってくる可能性もあり、中国としては中国なりの法解釈に基づいて行動することになる。

 しかし、ベールに包まれる司法手続きや法解釈が徹底されるなかでは、われわれは政治力学の変化からこの問題の行方を探らざるを得ない。

 今後、日中関係を巡る政治力学の変化は日本にとって明るくない。台湾情勢に代表される米中の対立は既に不可逆的なもので、米中の力の拮抗(きっこう)が顕著になっている状況において、米国の中国への警戒感は強まる一方だ。それにより、米国は日本に対してこれまで以上に対中で足並みをそろえるよう求めている。

 例えば、日本は3月下旬、最先端の半導体製造装置など23品目について対中輸出規制を実施することを発表したが、その背景にはバイデン政権からの強い要請があった。

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