観光の目玉は「ナチス建築」 負の遺産を活用したベルリン廃空港から学ぶ、公園以外の未来とは

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空港跡地の適切な利用方法とは。今回はベルリンを例に考える。

数少ないナチス建築の歴史遺産

ビジターセンターに展示されている空港の紹介パネル(画像:シカマアキ)
ビジターセンターに展示されている空港の紹介パネル(画像:シカマアキ)

 空港ターミナルビルは、現在も残る数少ないナチス建築で、歴史遺産となっている。現在も、航空関連や警察機関などがオフィスとして使用する。

 ビル内部は、有料の「ガイドツアー」で一般公開されている。ツアーは2時間で、ドイツ語または英語のガイドが案内。

 チェックインカウンターやターンテーブルなどがそのまま残るメインホール、レストラン、搭乗待ちエリア、かつて米空軍が駐在していた時の作戦室やバスケットボールのコート、地下の防空壕(ごう)なども回る。参加費は17.50ユーロ(約2500円)だ。

滑走路は公園化でイベントも

テンペルホーフ空港跡地の案内板。左上が空港ターミナルビル(画像:シカマアキ)
テンペルホーフ空港跡地の案内板。左上が空港ターミナルビル(画像:シカマアキ)

 ツアー受付があるビジターセンターは、入場無料。空港の歴史を紹介するパネルが、当時の写真とともに展示されている。不定期ではあるが、天井が高いメインホールでは映画上映のイベントなども行われている。

 ナチス建築は、終戦とともにその多くが破壊されたが、近年は負の遺産として残す動きも。テンペルホーフ空港の場合も、激動の歴史を今に伝える空港内部に潜入できるとして、世界中から参加者が集まる人気ツアーとなっている。

 また、滑走路だった部分は、市民向けの公園となっている。散策やジョギング、サイクリングが楽しめるほか、バーベキューやドッグラン、バードウオッチング、パラグライダーなども可能だ。市民が共有するガーデニングのエリアもある。2015年にはフォーミュラEの会場となった。

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