スペインのマドリード市交通公社が中国BYDに3度目のEVバス発注 欧州で数増やす「eバス」とは
EVバスを足掛かりに、EV乗用車の世界進出を狙う
スペインの首都マドリードの大手公共交通機関であるマドリード市交通公社(EMT)が、世界有数のEVバスメーカーであるBYDに、3度目の追加発注を行った。今回EMTは、全長12mのBYD新型EVバス「eBus(eバス)」を20台発注した。これが納入されると、EMTで保有しているBYD製EVバスの総数は65台となる。
今回の追加発注については、BYD製車両の安全性と快適性の高さ、eモビリティとしての信頼性と効率性などが認められた結果だろう。今回の契約は、EMTのアルフォンソ・サンチェスGMにより、2021年7月29日にオンラインで正式承認された。
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BYDのEVバスは、EVの普及が進んでいる欧州ではもちろん、北米やここ日本においても、EVバスといえばBYDといわれるほどの存在感を発揮するトップメーカーであり、日本全国で路線バスや域内循環バスなど50台以上が運用されている。
バッテリーメーカーでもあるBYDは、正極材にリン酸鉄を用いた独自のリチウムイオンバッテリー「ブレードバッテリー」をEVバスにも搭載しており、低コストを実現した。また、エンジンやトランスミッションといったメンテナンスコストがかかる大型の機械部品やディーゼル触媒などを使用しないため、運用コストが低いこともEVバスのメリットである。
航続距離の短さについては、走行ルートと時刻表が初めから決まっているため、充電のスケジュールを組み込みやすく、運用上のデメリットにはならないという。
実際に乗車してもEVバスは非常に快適だ。ディーゼル特有の不快な振動や騒音、変速ショック、そして排ガスのにおいももちろんなく、乗客の立場で言えば、もっと増えてほしいというのが率直な感想だろう。
BYDはEVやPHEVのメーカーでもあり、中国では常に販売ランキング上位になるほどの人気メーカーである。中国の自動車メーカー共通の命題である世界進出を、まずはEVバスで果たしつつあるBYDは、ブランドの知名度を活かし、今後、乗用車での世界進出を目論んでいる。