空港と騒音問題 なぜ伊丹空港は存続し、広島空港はへき地に移動したのか?

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長距離の高速移動に飛行機は欠かせない存在だ。そんな飛行機が発着する空港にまつわる社会問題といえば、いわずもがな“騒音”である。

大阪国際空港が存続されたワケ

大阪国際空港の位置(画像:(C)Google)
大阪国際空港の位置(画像:(C)Google)

 欠陥空港といわれた大阪国際空港は現在も存続している。関西新空港の計画が具体化した当初、同空港の開港後に廃港になるとみられていたが、そうはならなかった。

 1987(昭和62)年の関西新空港着工を前にした1986年8月、大阪国際空港周辺の11市で構成される大阪国際空港騒音対策協議会(現・大阪国際空港周辺都市対策協議会)では、それまでの

「空港の欠陥性が解消されない限り、空港撤去」

という運動方針をとりやめ、新空港開港後も

「関西新空港が計画通り67年度末に開港されたとしても、なお、相当の期間にわたって大阪国際空港を供用せざるを得ない状況となっている」
「空港は地域社会と調和して成り立つものでなければならない」

として、存続を求めることを方針としている。公害の発生源である空港の存続を求めたのは、地元経済に与える影響が懸念されたためだった。

容認が6割超という現実

騒音のイメージ(画像:写真AC)
騒音のイメージ(画像:写真AC)

 存続要望に対して、運輸省(当時)では、地元住民、空港関連企業、利用者に対するアンケートなどの調査を実施している。

 この結果によると、航空機の騒音を表す国際単位である「うるささ指数」が95以上の騒音区域の住民ですら、

・存続:27.2%
・便数縮小:21.4%
・航空需要などを考えて判断:14.7%

と容認が6割を超えていた。その理由の大半は

「航空機を利用するに便利」
「地元経済に寄与」

というものだった。

 1989(平成元)年に運輸省が公表した存続の是非に関する中間報告は、住民の声を反映している。

 国が支出する防音工事や移転補償の費用は、ピークだった1982(昭和57)年に約600億円だったが、対策も打たれたため、1989年以降は安くなり年間30億円程度で済むとした。また廃港とした場合、跡地利用として検討されていたニュータウン建設は整備費だけで約6400~7000億円もかかり、交通量が増えて環境が悪化するともしている。

 このように、大阪国際空港は全国の空港に騒音対策の重要性を知らしめるとともに、空港の経済的価値を示した。

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