「ここで写真を撮るな」 欧州の“鉄道撮影”厳しさ増す現実、個人情報の過剰保護は不自由社会もたらさないか
英国ガトウィック空港駅で列車を撮影しようとして、注意を受けた筆者。なぜそのようなことが今起きているのか――現地の状況をお伝えする。
画面内に「5人未満」はルール抵触

欧州では、鉄道の撮影に関して各国でルールが異なる。基本的に立ち入り禁止の場所へ進入したり、駅員の指示に従わなかったり、といったようなルール破りをしなければ、少なくとも撮影をとがめられるようなことはない。
スイスは列車そのものが観光資源となっている鉄道も多く、鉄道ファンの姿も多く見かける。中欧諸国は、「東欧」と呼ばれた冷戦時代には撮影が厳しく制限されていたが、今はむしろ撮影に寛容となった。良い意味で
「昭和の頃の日本」
という感じで、ふらっと車庫を訪れて停車中の機関車を撮影することもできるし、今の日本なら通報されかねない線路脇も、常識の範囲内であれば立ち入って撮影ができる。
イタリアには、鉄道施設の撮影を禁止するという法律があったようだが、現在はほとんど効力を発している様子はなく、特に注意されることはない。
だがドイツやフランスでは、たまに注意されることがある。この両国の場合、主にプライバシーの問題が関わっているようで、ドイツでは画面の中に5人以上の人物が入る場合は
「風景」
とみなされるが、それ以下は個人特定につながるため認められない、というルールもあるようだ。
英国、ドイツ、フランスといえば、特に鉄道ファン人口が多い国として有名だが、年々規制が厳しくなっている印象を受ける。昨今、撮り鉄問題が取り沙汰されている日本も、このまま状況の改善が見られなければ、いずれ厳しい規制が設けられる可能性も否定できない。