「ここで写真を撮るな」 欧州の“鉄道撮影”厳しさ増す現実、個人情報の過剰保護は不自由社会もたらさないか

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英国ガトウィック空港駅で列車を撮影しようとして、注意を受けた筆者。なぜそのようなことが今起きているのか――現地の状況をお伝えする。

管理会社ごとにルールが存在?

ホーム先端で撮影をする人たち(イタリア/フィレンツェ)。イタリアは撮影禁止という法律があるとされるが、注意されることはほぼない(画像:橋爪智之)
ホーム先端で撮影をする人たち(イタリア/フィレンツェ)。イタリアは撮影禁止という法律があるとされるが、注意されることはほぼない(画像:橋爪智之)

 さらに調べてみると、同社によって実際に管理されている駅は英国内の約20のターミナル駅で、それ以外の駅については管理している会社が別にある、との記載がある。

 件(くだん)のガトウィック空港駅は、空港連絡列車「ガトウィック・エクスプレス」が管理しているとのことだ。もしそうなら、同社の独自のルールがあるのかもしれないが、いずれにせよスマートフォンでのスナップすら禁止というのはちょっとばかげている。

 英国では、私が在住していた2012年頃からすでに撮影に関して制止されることがあったが、それはロンドン市内の駅が中心で、地方の駅でいわれたケースはなかった。またロンドン市内の駅についても各駅で対応が全く異なり、ハリーポッターで有名なキングスクロス駅では、何時間にも渡って撮影していたが何もいわれなかったし、三脚の使用も問題はなかった。パディントン駅やユーストン駅も同様だったが、一方でウォータールー駅やロンドンブリッジ駅では制止された。

 一度、撮影した写真を消すように命じられたこともあった。2012年というと、ちょうどロンドンオリンピックが開催された年で、実際その頃からCCTV(防犯カメラ)の数も劇的に増えたことから、特にロンドンは警備の関係で撮影に対して厳しくなったのかと考えていた。

 だが今回訪英した際、このスマートフォン撮影の件以外にもニューキャッスル駅で1回撮影には許可が必要といわれた。ロンドン以外の地方駅でいわれたのは初めてで、私以外の鉄道ファンからも、ロンドン以外で撮影をとがめられたという話は聞かれなかった。

 以前と比較して、より厳しくなったのは、ウクライナ情勢も関係しているのではないかと推察しているが、いずれにせよ英国では今後、昔のように気軽に駅のホームで撮影ということはできなくなり、スナップ程度でも駅事務所へ行って許可証を入手する必要が生じるのかもしれない。

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