そういえば、覆面パトカーはなぜ「クラウン」ばかりなのか?
トヨタ「クラウン」はなぜ覆面パトカーの定番車両に選ばれているのか。警察が愛用する車の理由について述べていこう。
なぜクラウンが選ばれるのか

覆面パトカーは、警察庁によって車両の仕様が明確に決められている。2021年に警察庁が改定・公開した「交通取締用四輪車 仕様書」によれば、「車台及び車体」の項目だけでも17項目が定められており、ほかにも無線機格納装置や警光灯などの装置に関しても細かい指定が記されている。
実際に車体の項目に注目してみると、
・4ドアセダン型であること
・排気量は、3000cc級以上であること
・後輪駆動であること
・乗車定員は5名であること
・前部席の座面から天井までの高さは、900mm以上あること
・トランクルームは、床面が概(おおむ)ねフラットなものであり、容量430L以上であること
など、規定はさまざまだ。
さらに、フロントフォグランプやプライバシーガラス、サイドバイザーなど、さまざまな状況や環境に備えた装備の搭載も同仕様書で定められている。
特に、交通取締用四輪車は一般道路だけでなく高速道路での取り締まりを行うため、大排気量のエンジンを搭載していることや、駆動力に優れていることが車体の条件として挙げられる。
最もなじみのある一般的なパトカー(無線警ら車)の仕様書では
「排気量は2500cc級以上」
と定められているため、交通取締用四輪車はより大排気量の車が求められていることがわかる。
これらを踏まえると、覆面パトカーにクラウンが多いのは、警察が単にクラウンをえり好みしていたわけではなく、
「規定に合う車両」
がクラウンだったためだ。トヨタにはクラウンパトカーという専用モデルがあったことを考えても、警察車両の基準がいかに厳しいかがうかがえる。